中国がCSBA理事長に注目

PeoplesDaily.jpg中国が「Joint Air-Sea Battel Concept」の提唱者であるCSBA理事長クレピノビック(Andrew Krepinevich)に注目している模様です
6日付Wall Street Journal電子版記事China Seizes on F-35 Remarks」は、中国の独占的国営メディアである人民日報(左上は同日本語版Webサイト)、更には中国国営英字紙・環球時報(Global Times)までもが、米国では一部の軍事情報サイトにしか掲載されなかったCSBA理事長の発言を取り上げていることを、お驚きを持って伝えています。
WSJ電子版ブログ記事の概要は・・・
●5日、国営の人民日報webサイトと人気のタブロイド紙環球時報が、オバマ政権の決定事項でもないのに、米国の兵器調達に関する一専門家の発言を報道している。
Krepinevich.jpg発言は米国のニッチな軍事情報サイトで報じられたもので、中国の急激な軍事増強のために米国は待望のF-35の調達を再考するだろう、と示唆するものである。
発言の主はCSBA理事長クレピネヴィックで、彼は予想以上に急激な中国等の軍事力近代化に対応するため、F-35の調達数を減らすべきだと29日のインタビューに答えている。
人民日報等は「オバマ政権は驚くべき中国等の軍事力進歩を前に、戦闘機の購入を再考している」、更に「CSBA理事長の発言はペンタゴンが注視している」とまで報じている
●中国では国家の後ろ盾のない研究機関が希なため、微妙な問題に対する研究者の発言は「(公式見解に近い)検閲済み意見」と見なされている。
●クレピノビックはワシントンDCで良く知られ、著名な米軍事に関するコメンテイターだが、彼の発言は米政権のものではなく、また政権内部の状況を反映したモノかどうかは明確でない。実際、彼の発言は米国内メディアは大きく扱っていない。
GlobalTimes.jpg●中国はソフトパワーの手段として、メディアの活用に取り組み始めた途上段階にあるが、この報道は正確性に欠ける国営メディアの現状を示唆しているのではないか。
国営新華社通信はNYのタイムズ・スクウェアーに北米支局の本部を移して、ソフトパワーの強化に取り組む準備を進めている。しかしソフトパワーの強化は、必ずしも国営メディアの正確性向上とは解釈できない。
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このWSJの記事には種々の見方が可能ですが・・・・。
Holylandは「中国国営メディアはソフトパワー強化のために発信力強化に努力しているが、正確性向上への取り組み不十分」には賛成です。
しかし、「CSBA理事長の発言は一研究者のコメントにすぎず、政府の公式決定ではない。その発言を大きく報道する中国メディアには、まだまだ正確性が足りない」との見方には反対です。
chinaecono.jpgWSJの執筆記者が軍事問題担当なのかは不明ですが、中国は自らの安全保障直結するCSBAの動きを懸命にフォローしているのでしょう。そして過去記事でも紹介したCSBAとペンタゴンとのつながりに注目し、CSBA研究者やCSBAからペンタゴンに引き抜かれた人材の動向をフォローしているのだと思います
以前にご紹介したように、F-35の調達機数削減(半減から7割減)の案は、CSBA研究者から2009年に空軍参謀総長特別補佐官に抜擢されたThomas Ehrhard氏の持論です。
「嘉手納から有事早々撤退?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
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中国を甘く見てはいけません・・・。

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