(7月4日21時34分配信) 時事通信によれば・・・
●在沖縄米海兵隊のグアム移転をめぐり、ゲーツ米国防長官から6月、経費負担の新たな協議を求める書簡が日本政府に届いていたことが4日、分かった。事実上の増額要求とみられる。日本政府は参院選後に対応を検討する方針だ。
●日米両政府は2006年、沖縄駐留の海兵隊約8千人とその家族約9千人のグアム移転で合意。移転総額9千億円のうち、日本側は財政支出2500億円、融資2900億円の計5400億円、米側は3700億円をそれぞれ負担するとした。
●しかし、米側は、グアム移転に伴う電力や上下水道などのインフラ整備費が当初の予想を上回る見通しになったとして、計画の見直しを進めており、日本側負担の増額を求めてくる可能性が高い。
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ついにJoint Air-Sea Battle Conceptの具体的な実行に関する日本への経費負担要求第一号がやってきました(・・とHolylandは考えます。既にもっと来ているのかもしれませんが・・・)。
ここに至る伏線的発言を過去記事から拾って時系列に並べてみると・・・
★昨年5月30日ゲーツ長官(シャングリラ・ダイアログ)
「パートナーとして完全に準備し、全ての、繰り返すが、同盟国としての全ての義務を果たせるパートナーでなければならない」
★2月末ヒックス国防副次官等(日経3月26日報道)
「冷戦中は欧州での米ソ対決を想定して、大規模な空と陸の共同作戦を準備した。今度はそれを空と海でやる。重点は西太平洋だ」 日本側関係者の表情はこわばった。中国を念頭に置いていることは明白だったからだ。
★3月17日シファー国防次官補代理(東アジア担当)
「今後数ヶ月から数年の間に、より多くが日本と日米同盟に対して要求されるだろう。私は日本がステップアップし、より多くを行う道を見つけるだろうと確信している。そして日本は、米国がそれを依頼するからではなく、むしろそれが日本の利害に関わり、負うべき責任を持ち、変化する能力を持ち合わせているがためにそのような方向に進むであろう。」
「米次官補代理が防衛費増額要求」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-19
★5月3日ゲーツ長官(Navy League総会)
「革新的な戦略や統合指向が必要。・・・Air-Sea Battleは21世紀の抑止力たる可能性を持っている 」
★5月26日マレン統参議長(空軍士官学校卒業式)
「Air-Sea Battle Conceptは・・・軍種間や省庁間、そして国家間の縦割り意識を打ち砕く例となろう」
★6月5日ゲーツ長官(シャングリラ・ダイアログ)
「米軍のアジアでの体制は、より地理的に分散し、作戦時の抗たん性を強化する方向へシフトしている。・・・グアムの強化はこの一環である」
★Andrew Krepinevich(CSBA理事長:Air Force Magazine7月号の取材に対し)
地域にある米国の同盟国には、より以上の努力が求められる。特に日本と豪は、無人機のような手段で中国に関するISRを、より多くより遠くで出来る能力を提供する事が求められる。
★7月6日北澤防衛大臣記者会見
Q:アメリカのゲーツ国防長官が、先月、グアムの移転に関する日本側の経費の負担増を求めて書簡を出してきたという件なんですが、日本側の負担増額というのは、検討の余地があるとお考えですか。
A:この件については、事務方も、それから私とゲイツさんも何度か協議をしておりますけれども、今の件について、日米間の協議の具体的な内容についてまではコメントを差し控えさせていただきます。
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時事通信の記事は「グアム移転に伴う電力や上下水道などのインフラ整備費」が予想を上回る事を増額要求の理由にしていますが、CSBAレポートや2008年の演習「Pacific Vision」の結果からインフラ強化を指向しているのかもしれませんし、サイパン・テニアン等周辺諸島の基地整備費を埋め合わせるためかもしれません・・・
普天間移転は表層的な問題に過ぎません。ゲーツ長官が普天間に言及する時は「安全面と環境面への配慮について両国間で更に話し合う」と数多ある基地対策の一つとの問題意識です。
そんなことより、中国のことをどうするつもりなんだ、まだ友愛やってるのか??、との問いかけが聞こえてきそうです。
次は司令部の地下化? BMD装備の追加購入? 超高価な戦闘機オファー?・・・
(関連記事)
「ゲーツ改革のまとめと整理」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「400記事記念 反響大の記事特集」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-18
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