今週初め、ゲーツ国防長官は次の海兵隊司令官候補者にエイモス大将(写真左Gen. James Amos)を推薦すると発表しました。エイモス大将が地上部隊出身ではなく、海兵隊史上初となるパイロットであるため、米国内では大きな話題となっています。
以下は本指名に関する米軍事サイト「Defense Tech」の15日付記事からです。
当該記事は→ http://defensetech.org/2010/06/15/does-prospective-cmc-amos-have-a-vision-to-save-the-marine-corps/#more-7655
●大方の予想は現JFCOM司令官のマッティス大将(写真左:Gen. James Mattis)だったが、サプライズ人事でパイロット出身のエイモス大将に白羽の矢がたった。マッテスJFCOM司令官は、オバマ大統領が進める同性愛者に対する「尋ねない、語らない」方針の見直しに反対していたため選考から落とされた、との噂がもっぱらである。
●ゲーツ国防長官は先月7日、「私は今、次の海兵隊司令官候補者の面接を行っている。そこでの質問は、君の海兵隊の将来ビジョンを聞かせてくれ、である。なぜなら、イラクやアフガニスタンにおいて、海兵隊は第2の陸軍になっている。どこが陸軍と違うのか? どんな任務が海兵隊を必要とするのか?が私の疑問でもある。」と海兵隊に挑戦状をたたきつけた
●エイモス大将は海兵隊の将来にどんなビジョンを持っているのか? Defense Techは同大将が海軍大学のフォーラムで6月初旬に語った内容を、匿名の参加者から入手した。
その内容は・・・・
★米国のシーパワーは国際システムの最終保証人である。シーパワーの究極の価値は、上陸することなく地上の出来事に影響を与えることである。
★海兵隊は、「海兵隊を派遣せよ」の命のもと、行動と成功を期待され、混乱した見にくい挑戦に対峙する、迅速で効率的な力を米国に長らく提供してきた。
★海兵隊は多くの任務を遂行するが、以下の2つが前線で他に変わることが出来ない役割である。第1に、海軍の一員として困難な海上と陸上の作戦を隙間無くつなぐ沿岸部へのアクセスを提供し、軍事作戦、危機対処、戦力投射等の組み合わせでこれを行う。
第2に、海兵隊は、高度な適応性と犠牲をいとわない意志を持って、国家の小さな戦争や作戦を戦う。
●エイモス大将の発言はこれまでの海兵隊の役割と変わらないように見え、むしろ古さを感じさせる。現司令官のコンウェイ大将(写真左)が述べた「ショックを与える部隊」又はドアを蹴り開ける者、との表現もキャッチフレーズ程度である。アモス大将はより沿岸部での作戦を押し出すつもりなのだろうか。
●海兵隊にとっての問題は、拡大を続ける特殊部隊SOFが海兵隊の任務の大部分を「より見えにくく、より少ない痕跡」で行える点である。特殊部隊のこれこそが将来の軍事作戦ではないのか。(以上記事概要)
偶然にもシンクタンクCNASでの先週のフォーラムで、特殊作戦軍司令官のオルソン海軍大将(写真左)が「陸軍や海兵隊では、他国の防衛を内部から支えることは出来ない」と明言しており、昨日紹介したゲーツ長官のFA誌論文の重視分野は特殊部隊だけが出来る、と手を挙げたところです。
ゲーツ長官の人選は、海兵隊の地上部隊出身では改革は出来ないから、パイロットにやらせてみるか・・・てな部分もあったのではないでしょうか・・・。「10隻も強襲揚陸艦が必要なのか、考え直さなければならない」(5月3日海軍協会でのスピーチ)との発言も俄然現実味を帯びてきました・
沖縄の海兵隊も長い目で見ていかないと・・・本丸はどこにあるのか・・・よーーーーく考えましょう。
(関連記事)
「海軍海兵隊とも全面対決へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
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