NATO改革とアフガン作戦延期

11日ゲーツ国防長官はNATO国防総会議終了後の記者会見で、無駄が多く旧態然としたNATOの機構改革を大胆にかつ早急に実施すべきと語りました。
gatesNATO.jpg  ●戦争中でかつ経済が厳しい中、全ての経費は精査されなければならない。NATOのインフラとその組織機構は現在の世界情勢が望む形になっていないことは明確である。現在の形態は、政治的なニーズや特定のNATOの政策をサポートするモノでしかない。
  ●最近我が米国防省でも同様の改革に着手(5月8日アイゼンハワー図書館演説)し、コスト削減と重要な能力の維持のバランスに取り組んでいる。この際最も悪なのは、現場の兵士や必要な軍事力を犠牲にすることである
  ●昨夜の夕食会で、幸いラスムッセン事務局長からは改革の項目について賛同と激励を得たところである。また会議で多くの国防相の賛同を得た。我々の任務は、行動すること、意志と勇気を問いただすこと、そして困難な決断を下すことである
  ●改革の例として、14個もあり年間5500億円予算を消費するNATOの下部組織を3個に集約すること、継続的にNATO司令部のシビリアン職員を削減すること等がある。事務総長の指導により更なる改革案が11月のリスボンNATO総会までに迄に提示されるだろう。
HugHugHug.jpg  ワシントンDCだけでなく、NATOでもやりますか・・・その姿勢はどこから生まれるのでしょうか・・。恐らく、アフガンで命を落とした兵士やその家族の涙、嘆き、その子供達のもがき苦しむ姿を日々目にするからでしょう・・・。
  ゲーツ長官は同じ記者会見でアフガンの状況について、「正しい方向に向かっており主導権を取り戻しつつあるが、道は遠く険しい、かつその歩みは早くはなく、高い代償なしでは進まない。」と短節にかつ正確に現状を評価しています。
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gatesMcchrys.jpg  11日、ブラッセルで開催中のNATO国防相会議に出席中のマクリスタル司令官(陸軍大将:アフガン作戦指揮官)がFinancial Timesのインタビューに答え、カンダハルへの作戦を秋まで延期すると語り、理由としてマルージャ(Marja)作戦の不十分な部分の分析に時間が必要だと述べました。
  NATO司令部で報道陣に語った同司令官は、「カンダハルでの作戦は当初考えていたよりも深くつめる必要があり、計画に数ヶ月必要である。私はこの遅れが必ずしも悪いことだとは思わない。正しく行うことがなにより重要である」と述べました。
また、11月に開催されるNATOの年次総会までには、南部アフガンで目に見える成果を出す必要がある、との認識を示しました。
McchrystalAF.jpg  最近のヘルマンド河渓谷河での作戦の状況について、大きな教訓はアフガン人による確固として持続的なガバナンス確立戦略をしっかり持つことである。「通常戦闘のように丘を取り囲んでその丘を占領するのとは異なり、住民を守りに行こうとするときは、住民が防御されることを望んでいなければならない」(写真は前線のアフガン兵士を激励する同司令官)
政治的に成果を出す期限が切られている・・・。苦境にあるマクリスタル司令官のお顔の表情は、軍の最前線指揮官よりも学校の先生のそれを思い出させます。ほおの痩け方が気になります
(関連記事)
「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「(補足)アイゼンハワー図書館演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11

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