米国は今卒業式のシーズンです。22日にはオバマ大統領が出席してウェストポイント陸軍士官学校の卒業式が行われ、女子学生が首席卒業で大統領から表彰(写真一番下)されています。
そんな季節、多忙な中、ゲーツ長官は自らの出身地カンサス州の高校卒業式に23日出席し、スピーチを行っています。
国防長官が地元とは言え、わざわざ田舎の高校の卒業式に出席する理由が判然としませんが、オバマ大統領が掲げる目標「米国を大学進学率の最も高い国にする」のために貢献し、同高校が大学進学率95%を達成したのが理由の一つのようです。
スピーチでのメッセージは、一つに「皆が今考えている進路に進むとは人生限らない。どんな時にも、大切な事は挑戦を止めず努力すること」、二つに「いかなる形にせよ、社会に奉仕する事の大切さを忘れてはいけない」です。
本日は、一つ目のトピックについて、ゲーツ長官自らの若き日の失敗談を使って卒業生に語る場面をご紹介します。へぇー・・・そんなこともあったんだ・・・の話です。「CIAねた」は笑えます。
●私は高校卒業後、自分は優秀だと考え、両親の反対を押し切ってカンサス州立大ではなく、バージニア州の大学へ医者になるために進学しました。しかし、いきなり一学期の微積分で「D」の成績を取ってしまい、父親から長距離電話で詰問されることになりました。私は父に「Dは贈り物だと思う」と言い訳し、自分に適正がないことが明らかになったと解釈しました。
●後年テキサスA&M大学の学長の時は、新入生にこの例を持ち出し、君たちが少し利口でも努力しないと失敗する、また1年生でDをとっても私のように何とかなる、と新入生に話しをしたものです。大学に進学するにしても、他の道に進むにしても、最初につまずいていらいらしたり落胆するのではなく、努力を続け、学び方を学び、誘惑から自らを遠ざけ、努力や挑戦を続けることです。そして、どのような道に向かおうとも、あなた方が、必ずしも想像しなかったような道を歩むことにも備えておくべきです。
●私が大学院に進んだとき、偶然CIAのリクルーターと出会いました。当時歴史の教師になろうと考えていた私にとって、全く考えもしなかった組織です。そして最初、CIAは私をスパイに仕立てようと教育しました。そしてその初期の訓練で、CIAの女性職員をグループで尾行することがありました。しかし私のグループには「ステルス性」が無かったため、「怪しい男達が女性を追い回している」と一般市民から警察に通報され、仲間の2人が警察に捕まってしまいました。偶然私が免れたのは、早々に女性を見失ってほとんど尾行できなかったからです。
●CIAは私が現場担当に向いていないと判断したのか、まもなく、入手した情報を検討し解釈する分析官になりました。そしてこれが私に、米国史上の驚くべき出来事を目撃する機会を与えることになったのです。
●皆さんも何度か誤った方向に踏み出すこともあるでしょうし、得意分野を見つけるまでに困惑するような事もあるでしょう。しかし、継続して努力することです。
40年近く昔の話とはいえ、元CIA長官の暴露話には説得力がありますね・・・・。今のCIAの人のコメントが聞きたいモノです。
ところで、最近ゲーツ長官は(昔からそうなのかもしれませんが・・)結構開けっぴろげに「本音」を話すことが多いようです。今週、オバマ政権の「国家安全保障戦略」が発表されたら、Holylandが最近聞いたゲーツ長官の「本音」をご紹介しましょう。 もったいぶってすいません。
ところで、北澤防衛大臣とゲーツ長官の会談模様が写真のみ米国防省HPに掲載されています。写真の説明は「discuss a range of bilateral security issues」でした。
(付録)
「CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「(その6)CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「嘉手納から有事早々撤退?」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
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