(その3)CSBA中国作戦構想

Jan van Tol.jpg引き続き、シンクタンクCSBAによる対中国軍事対処構想レポート「AirSea Battle: A Point of Departure Operational Concept」を、自問自答の設問形式で読んでみました。厳密さはありませんが、全体の雰囲気を感じていただければ幸いです。(写真は主担当著者のJan Van Tol氏、佐世保所属揚陸強襲艦エセックス艦長経験者。この人もアンドリュー・マーシャル局長の下で2回の勤務経験あり。)
米海空軍は両軍制服トップの覚書に基づき、昨年9月から「Joint air-sea battle concept(JASBC)」を共同で策定中ですが、ゲーツ国防長官がCSBAの関連レポートの内容を最近のスピーチで頻繁に引用していることから、CSBAによる本レポートが米空海軍コンセプトの骨格をなすモノと考えられます。
Q1 厳しいA2AD環境下で、本レポートは日本の防衛をどう考えているのか
J-10 PLA.jpgA1 日本(周辺同盟国も含む)は中国に近接して常にミサイル同時攻撃の脅威にサラされているので、防衛のための米軍は、中国の攻撃可能範囲下でも生き延びて行動できなければならない。この義務を果たせない米軍は、同盟の信頼性を揺るがし、中国の浸食を招き、地域の核拡散を含む軍拡競争を引き起こす
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Q2 AirSea Battle作戦はどのような構成になっているのか
A1 まず中国軍の初動攻撃の有効性を減殺する。次に米国や同盟国部隊の被害を最小化するため反攻を行う。そして作戦を継続できるような条件体制を整える。
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Q3 米中の戦いのポイントはどこか
PLA cruise missile.jpgA1 中国は、接近する敵を遠方で発見・識別・攻撃することでA2ADを成立させるので、ISRシステムが中国のアキレス腱である米国にとっても戦闘ネットワークが重要であり、双方が相手を「盲目化」させる事を追求することになる。「盲目化」させるための「偵察合戦」は既に始まっている。サイバー、宇宙、水中領域に於いても同様である。
   中国軍の盲目化はJASBC成功に不可欠。盲目化により攻撃精度・能力が低下し、戦果確認が不十分なため余分な弾道ミサイルの使用を余儀なくされる。特に水上目標の位置評定は難しい課題であり、盲目化は我への脅威減殺に重要。
A2 盲目化の重要目標は中国の宇宙関連システムである一つは中国の軌道上アセットへの非キネティック攻撃、他は対衛星能力の破壊である。宇宙関連以外では、中国の長距離攻撃を可能にするOTHレーダーやISRノードが攻撃対象になる。(注:攻撃手段については曖昧な表現 時間的余裕がないのでCSMやサイバーも混合して使用か)
  中国軍が導入を計画している高々度長期在空無人機は宇宙アセットを補完するモノとして注意が必要
A3 米国のC2やISRアセットへの被害も予期すべき。宇宙アセットが使用不能な場合に備え、能力が限定的な空中中継や空中ISRアセットで運用の際の、情報入手や回線の優先順位について事前に統合・連合レベルで検討しておくべき。
   確実な我の攻撃戦果確認や追加攻撃のため、高価であるがステルス長距離ISR攻撃機が有効であり、中国に対応策のための出費を強要する。
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Q4 初動を乗り切る鍵、中国の弾道ミサイル制圧は
DF-21.jpgA1 中国の弾道ミサイル制圧がJASBCの主要な作戦である。空海軍のステルス長距離攻撃機と潜水艦発射兵器で中国防空システムを攻撃し、スタンドオフ電子攻撃兵器で弱体化させ、通過可能回廊を切り開いて弾道ミサイル攻撃パッケージを投入する。スタンドオフ兵器で固定目標を攻撃し、移動目標は有人無人の長期在空ステルス機で破壊する。
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Ford-Class-Carrier.jpg米国は自身の宇宙アセットへの極度の依存とその脆弱制に危機感を持っており、同時に中国の宇宙関連アセット(ASATや中国のISR・通信衛星等)無効化の重要性を強調している。中国の宇宙関連施設は内陸部に多く配置されており、CSMやサイバー攻撃も重要な攻撃オプションと推定される。
弾道ミサイル制圧は初動のタイミングではなく、初動を凌いだ後の対応扱いになっている。それでも日本に戦闘機を購入しろと言うのか・・・・。慎重な書きぶりながら、中国の作戦開始時は米軍戦闘機はおそらく避難ですね・・・この書きぶりは・・
「CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
「米の対中国新作戦はJoint Air-Sea Battle」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1)」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07

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