情報漏れを甘受して共有せよ

JWFC2010.jpg11日から13日にかけて、米統合戦力軍(JFC:Joint Forces Command)が民間団体と共催で恒例の「2010 Joint Warfighting Conference」を開催し、「多国籍軍や戦闘部隊指揮官は5年後に何を求められるか」とのテーマで議論が行われました。この催しを報じる米国防省HPは、「情報共有の重要性を将軍達が強調」との見出しで伝えています。
元記事は→http://www.defense.gov//News/NewsArticle.aspx?ID=59199
ちなみに米統合戦力軍は、米軍全体の作戦運用や教育訓練に関する基本ドクトリンや訓練方針を定める役割を担い、実際に各種演習やシュミレーションを行っているほか、普段の訓練に関して4軍を指導監督します。なお、QDR作成にもJFCは深く関わっています
マッテス統合戦力軍司令官(海兵隊大将James N. Mattis)は・・・
MattisGen.jpg●若手将校の肩には、多国籍環境における情報共有状況を改善する責務が課せられる。
●この時代、君たちがいかに技術面や作戦面で優れていようと、多国籍の参加者から信頼を得られなければ故郷に帰ってもらうことになろう。
エッジングトン同司令部参謀長(空軍少将David M. Edgington)は・・・
情報共有における文化の変革が起こっている。それは「need-to-know 知る必要のある者だけが知る」から「will-to-share 積極的に共有しよう」への変化である。
●米国だけが共有に「ためらい」を持っていたのではない。しかし、米国が他国より情報収集と分析配布で格段の能力を持っている点からして、多国籍指揮官としての責任は重い
EdgingtonMGen.jpgもちろん情報漏洩によって部隊が危険にさらされる恐れから共有をためらうこともあるが、大部分の場合、不必要な官僚組織的理由から共有がなされていない。
●多国籍軍を情報によって支援することは、我の負担を軽くすることである。ためらいを乗り越えよ。彼らは共に戦っているのだ。
情報共有により、敵の手に情報が渡る恐れについては認める。しかし共有した相手も同じリスクを負うのである。
インターオペラビリティー(相互運用性)に関し、大佐以上の世代には、米国があまりにも先行しているためこれ以上は無理だ、との声があるが、多国籍軍には必要なのだ。多くの国がF-15を購入し、F-35計画にも参画している。
アブリエルNATO戦力変革担当司令官(仏空軍大将Stephane Abrial)は・・・
AbrialFrNATO.jpg●情報共有や相互運用性向上に向けた信頼感を築くことが必要不可欠である。
米国の装備品と同盟国のモノとの差は広がるばかりで、急激に差を埋めることは容易ではないが、情報共有や相互運用性については我々のDNAに組み込まなければならない。
各国が多国籍軍に加わる際の但し書きや制限も減らして行かなくてはならない。これらは多国籍軍の運用や情報共有を妨げるモノである。
危険を冒しても情報共有を進め、他国を何とか巻き込んでおきたい、負担を軽くしたい・・・「肉を切らせて、骨を断つ」になれば良いのですが。相互運用性は今後差が縮小するとは考えにくいですね。我が国は・・・今のままでは・・
「予告:対中国対処構想発表」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16
「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「米の対中国新作戦はJoint Air-Sea Battle」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04

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