予告:対中国作戦構想発表

Lieberman.jpgLieberman2.jpg米国時間で火曜日の18日米軍の新たな対中国作戦構想となる可能性の高い民間のレポート「AirSea Battle: A Point of Departure」がシンクタンクCSBAから発表されます。同レポートの重要性に鑑み、発表イベントは米議会上院で行われ、民主党の重鎮リーバーマン上院議員(写真左)が仕切る予定です。
Krepinevich.jpg同レポートは、CSBA理事長Andrew Krepinevich(写真左)の第1弾論文「Why AirSea Battle?」の後編に当たるモノで、第1弾で指摘した中国のAnti-access能力向上に対処するための具体的な政策提言を狙いとしている模様です。つまり、QDRが示す「Joint Air-Sea Battle Concept」の具体的姿が明らかになるわけです。(勿論正式なモノは米海空軍が策定中ですが・・)
第1弾論文とその方向性については・・・
「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
この発表会予定を報じる有力軍事サイト「Defense Tech」は本レポートに関し、「巨大シンクタンクによる軍の考えを基にしたアイデアが、大量のセメントを太平洋につぎ込む。グアム島の航空機用シェルターが中国の弾道ミサイル対処のために強化される」、「空軍爆撃機が敵の潜水艦を攻撃し、海軍のステルス潜水艦が敵の指揮統制ネットワークを攻撃する」などの幾つかの新たなアイデアが盛り込まれる、との関係者発言を紹介しています。
 →http://defensetech.org/2010/05/14/big-day-next-week-for-airsea-battle-fans/
Anti-Access2.JPG背景・経緯を簡単に振り返れば・・
●中国の対艦ミサイル、弾道ミサイル、潜水艦、航空戦力、防空ミサイル、指揮統制システム、対衛星兵器やサイバー戦力等々が配備増強されてanti-accessとarea-denial(A2AD)能力が向上し、米軍はこれまでのやり方では途方もない代償を払わなければ、国益にとって死活的に重要な地域へのアクセス出来なくなる
●国家予算は今後も厳しい状が予想され、同時にイラク・アフガンでの戦いや不正規戦の重要性が増す中、中国のようなハイエンドの非対称脅威に対応するためには、従来の60年以上使い古した旧態然とした作戦思想を見直し、海軍・空軍の戦力を有機的に融合させて運用する作戦構想が必要。その構想は海空軍の今後の装備体系をも規定する。
●基本的には中国のA2AD圏外「より遠方から」や不要な被害を防ぐため無人装備やミサイル中心の対処を想定している模様。QDRにも「Joint Air-Sea Battle Concept」を作成中と記述されている。
roughead.jpgschwa2.jpgQDRに記述の兵器候補には、無人空母搭載無人機、潜水艦発射長距離ミサイル、統合長距離(ステルス)巡航ミサイル、無人潜水艦、空軍爆撃機後継、PGS、電子攻撃装備等々で含まれている。昨年9月に海空軍トップ(写真左)が構想作成の覚え書きに署名して公式な検討が始まっている。
●これらの方向性については既にゲーツ国防長官が種々の場で発言している。
「海軍海兵隊とも全面対決へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
「ゲーツ長官が空軍へ最後通牒」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17
eagle2.JPGこの対中国新作戦構想は、日米が共に戦う日本のイメージとはかなり姿を異にし、在日米軍の役割や配備等、日米共同のあり方を根本的に変える可能性が高いモノで、日本の安全保障上極めて重要なコンセプトになろうとHolylandは考えています
であるにも関わらず、日本では重要ながらも枝葉末節な普天間のみが話題にされ、本コンセプトについてなんら議論されていない状況です(遠目涙)。
今後も報道サイドの情報提供には期待できませんので、「ちまちま」本ブログに書き込んでいる所です。心ある本ブログ読者の皆様に於かれましては、多方面にこの状況を発信していただきたくお願いする次第です(正座深々お願い・・・)。
gatesSOMARIA.jpgより細部については過去や下記の関連記事をご確認頂きながら、日本時間水曜日19日早朝(たぶん)の発表を心穏やかに思考を深めてお待ち下さい。すぐに内容をフォローする自信はありませんが、CSBAのサイトにはすぐアップされると思いますし、既に骨子となる部分については過去記事で書いた感触を持っております。
「(その6)CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「(しつこく最後)CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30
「米の対中国新作戦はJoint Air-Sea Battle」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
「QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1)」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「米空軍OBが断末魔の叫び」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-05-1
「なぜ空自にステルス機?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-26-1
「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「(補足)アイゼンハワー・ライブラリ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11
「米が武器輸出・共同開発の方針転換へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22

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