時代に翻弄される祖国のため、身を粉にして尽くした誠実な軍人の死を悼んで・・・・
ポーランド軍のトップであるゴンゴル統合参謀総長(Chief of General Staff of the Polish Armed Forces:Franciszek Gągor)が、10日に発生したポーランド大統領専用機の墜落事故で亡くなりました。59才でした。ゴンゴル陸軍大将は2003年から2004年にかけ、シリアとイスラエル間のゴラン高原に展開する国連PKO部隊UNDOFの司令官を務め、日本の派遣部隊もお世話になった方です。
UNDOF司令官の直前には、イラクとクウェートの国境を監視する国連部隊UNIKOMの司令官として、米国主導の戦いがいつ開始されるか判らない混乱の中で、多国籍隊員の安全と装備品の管理に万全を期したことで国連の評価を高めました。
湾岸戦争の際には、ポーランド派遣部隊の副指揮官として部隊を率いて戦い、ポーランドがNATOに加盟した2004年には、ポーランド軍切っての国際派としてNATOとEU代表部派遣のポーランド代表に任命され、ポーランドの地位確保・向上に奔走されています。
2006年2月に統合参謀長就任以降は、イラクからのポーランド軍の撤収、米ミサイル防衛装備の配備を巡るロシアとの軋轢、アフガニスタン派遣部隊を巡る対応等、大国の動きに翻弄されるポーランドの歴史をそのまま映すかのような激動の日々を過ごされています。
激務の傍ら得意の英語を生かして、ポーランド軍の立場を主張するため多数の論文や著書をなし、米国防大学を優秀な成績で卒業した経歴を持つゴンゴル将軍。恐らくリタイア後は、論壇からポーランドの安全保障を訴えたかったことでしょう。
ショパンの生誕200年を祝うポーランドには余りにも悲しい知らせです・・・
奥様と二人のご子息の無念を思うと言葉もありませんが、ゴンゴル大将のご冥福をただただ祈るばかりです。
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