士官候補生に語るシリーズ(おまけ)

gatesMICHELL.jpg2日に空軍士官学校、7日に海軍士官学校でそれぞれレクチャーを行ったゲーツ長官の「語り」をご紹介してきましたが、7日のフルスクリプトが公表され、海軍でも同様に厳しく優しく語りかけていることが分かりました。(空軍だけに厳しかったわけではありません。反省。)
本日は、以前紹介できなかったところを、両方からピックアップしてお届けします。(写真は9日ペンタゴンで行われた職員感謝デー行事にミシェル夫人を迎えた際の様子です。太めの女性はゲーツ夫人のベッキーさん)
●冒頭のジョーク
普通講演するときは、「本日はお集まりいただき有り難うございます」と言うが、今日君たちは必ずしも自主的に集まったわけではないだろうから言わないよ。また、高カロリーの食事のあとに私の講演を仕組んだのはどのような戦略か知らないが、君たちが眠らないよう全力を尽くす
教室や講演で居眠りをするのと、大統領との会議で居眠りをするのは全く次元の異なることである。でもそれは現実として起こりうるのだ。レーガン大統領を中心に6名の閣僚が参加した会議で、大統領と閣僚全員が寝ていたこともあったからね。
●政治家や軍需産業との誤った接近を戒め・・
gatesMICHEL2.jpg冷戦の結果として、軍人・政治家・軍需産業の複合体のようなものが生まれてしまった。時として、軍幹部が自らが希望する兵器システムを実現するため政治家の間を走り回るような光景が見られるようなことがある。海軍省が廃止されるとき、反旗を翻した海軍提督団があった。戦後、原子爆弾を海軍と空軍のどちらが運用するかで、浅はかな争いがあった。
このような(国益亡き)争いは古い歴史を持つ。米国最初の戦争大臣であったノックス(Henry Knox)が海賊対策のために6隻の艦船を建造する際、議員との調整の果て、6隻すべてが違う場所にある異なった造船所で建造されることになった。
(中略)君たちは、上司が誤ったことを議会や国民に向けて述べたりしたとき、そのときこそ君たちはキャリアをかけて上司に対して意見を言わなければならない
●軍人としての潔さ・・
マーシャル陸軍参謀総長は二次大戦のバトルオブブリテン直前、自らは米軍の強化に重点を置くべきと考えていたが、時のルーズベルト大統領の最終判断により英国への支援に全力を挙げるよう命じられた。マーシャルは自分の意見が入れられなかったことは忘れ、敬礼し、任務に立ち向かった。決して新聞に不満表明する匿名記事を書いたり、議員に働きかけたり、反対派を形成したりしなかった。潔く任務に邁進し、英国を救った。現代の歴史家は大統領とマーシャルの判断行動を評価している。
(別の視点で・・)湾岸戦争中の地上作戦開始直前、パウエル統合参謀本部議長は初代ブッシュ大統領に対し、目を見据えてこう言った「大統領、我々は地上戦に入ろうとしています。数千の犠牲者がでるかもしれません。あなたはその時も、勝利に向かって突き進む用意が出来ていますか」 大統領に現実を見つめてもらうために、軍のトップとして必要な助言である。重要なときに職をとしてでも必要なことを率直に述べる度量を養ってもらいたい。
gatesMICH.jpg●ポストでなく、何をなしたいか
海空軍のため、米軍のため、我が国のため、キャリア指向や旧思考をやめよ。規律正しく、創造的で、改革指向であれ。誠実なリーダーであれ。どのポストに就きたいではなく、何を成し遂げたいかを語れ。
●君たちが戦場に赴く際は・・
(戦時に士官学校を選択してくれたことに対し)私は君たちに敬礼し感謝する。私は君たちが私の息子や娘であるように責任を感じている。そして私が君たちに困難な任務与えるときは、私は、私は必ず、君たちが任務完遂に必要なものを届けられるよう、私の立場で全力を尽くす。
(付録)
「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
「QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1)」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「米の対中国新作戦は「Joint Air-Sea Battle」」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05

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