極東アジアを中心とした軍事情勢を扱う数少ない英字月刊誌「Kanwa Asian Defence」4月号が、中国内陸部の武漢の地上に建造中の「陸上航空母艦」について特集をしています。(武漢は地図の白点)
ネット上から「wuhan aircraft carrier」で検索した写真からは判りにくいかもしれませんが、「陸上航空母艦」とは、空母の艦橋と甲板部を本物の空母に模して建造中のものです。甲板の先はスキージャンプ台のように跳ね上がっており、中国の空母艦載機の訓練に使われるのでは・・・と話題になっているものです。
現在空母を保有している国で、このように陸上に空母を模した実物大(上部のみ)施設を建設した国はなく、結論的には未だよくわからないですが、同誌がドバイやマレーシアで開催された会議等で専門家から意見聴取した内容を・・・ご参考までに・・・
●Kanwa Asian Defenceの現時点での見方
レーダーや艦橋装備等の配置を実物大の模型で測定するためのもの。異なるタイプのレーダーなど電子戦闘機器の適合性をテストする目的を持ったもの。外見の構造からして、戦闘機の離着陸の衝撃に耐えられるとは考えにくい。
●ロシア軍需産業の専門家(ポーランド人)
現状では甲板に戦闘機等を持ち上げるリフト等の装置が見あたらず、戦闘機の離発着に使用されるとは思えない。中国とロシアの武器の設計思想は似ており、その当たりも考慮して判断した。
●ロシアと仏の造船専門家
レーダーや電子戦闘機器のテストに使用するのは確かであろう。ただし、離着陸訓練用に使用しないとは限らない。現時点ではジャンプ台などが余りにも軽易な構造であるが、甲板の下に見える建物には強化セメントが使用されているようだから、今後の工事次第では可能性は否定できない。ロシアと仏も、離着陸訓練用に軽易な陸上施設を作ったが、艦橋も実物大に再現したことはない。
(一番下の写真は建造開始当時のものもデス。モックアップのSu-27が乗ってます。)
この雑誌のおもしろいところは、「Kanwa」はこう考える、こう予想する、こうあるべきだと考える等々、雑誌を主語にして明確に主張を展開するところと、「東スポ」的な茶目っ気記事があることです。この空母の記事もそんなニュアンスが・・・。中国と北朝鮮の軍事交流やロシアの5世代機の特集など4月号には見られます。
ご興味のある方は → www.kanwa.com をご覧下さい.
(付録)
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
コメント