ゲーツ長官がパキ国防大学で罵倒される

gateskayani.jpg21~22日のパキスタン訪問で、関係者と精力的に会談しているゲーツ長官ですが、22日は「ゲーツ長官がもっとも楽しみにしていた」と報道官が表現したパキスタン国防大学でのスピーチと質疑応答を行いました。写真左はパキスタン安全保障の最高権力者カヤニ陸軍司令官です。
スピーチ終了後、報道陣を退席させた後に行われたQ&Aセッションは、「あらゆる方面に及ぶ」話題が取り上げられ、「丁寧で敬意に満ちつつ極めて率直なもので、遠慮容赦のない質疑応答であった」とモレル報道官が丸めて説明しています。
冒頭のスピーチでは、「90年代前半に、米国政府の近視眼的な過ちによりパキスタンとの関係を断つ過ちを犯したことが両国軍の関係を絶ち、パキスタン側に米に対する負の信頼感情を残したことは明白である。・・・失われた信頼関係を取り戻すには数ヶ月ではなく、数年が必要であろう。そのために本日は皆さんの意見を聞き、どんな質問にも答えたい
gateswreath.jpgまた「軍の将来のリーダーとして、皆さんには軍を正しく導く責任がある。米国は従来型の脅威よりも新たな脅威に対応するための変革を行っており、パキスタン軍も脅威の変化に対応するため変わらなければならない。米国の教訓を共有することは有用である。」等々と述べました。
国防大学関係者からの質問には
●ムンバイ事案の際のインドの自制を賞賛したが、「同時に同様なテロが再び発生した場合に、インドが厳しく対応することが理性的でないとは言えない」と述べたがその真意は?
●政府が機能しないアフガンで、どのようにしてアフガン軍を立ち上げ育てるか?
●米国は、長引くパキスタン-インド問題に介入するつもりか?  → この質問に対してゲーツ長官は「両国とも自らの手で取り組むことを希望している」と対応しています。
報道官が説明に苦慮したのが以下の質問・・・
●米国が引き起こしたアフガンでの戦争でパキスタンは大混乱に巻き込まれた。米国の責任だ! どうしてくれるのか!!
gatesacft1.jpgこの長官を罵倒するような問いかけに対しゲーツ長官は「例外的な寛容を持って」(報道官談)、タリバンとアルカイダやその仲間がアフガンで引き起こした問題はいずれパキスタンにも及ぶ。パキスタンがこのアルカイダの大戦略から逃れることは出来ない。時間の問題である。と回答したようです。
日本のアフガン・パキスタン地域研究者で米国の戦略が成功すると考えている人は皆無です。米国でも似たような状況でしょう。でも少ない可能性の公務に地道に取り組むゲーツ長官でした。写真は専用機内で記者団の質問に対応するゲーツ長官です。

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