START1後継条約交渉の論点観測

1、背景経緯と日程見通し
bushgorv.jpg 1991年に父ブッシュとゴルバチョフが調印した戦略兵器削減条約(START1)は本年12月5日に失効しました。これにより米ロの核軍縮条約は、配備済み戦略核弾頭数の上限を2200~1700とした2002年の戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)だけとなりました。START2(92年)やSTART3(97年)も交渉はそれぞれ記載の年に交渉を開始しましたが、どちらも両国の批准には至っていません
米ロは後継条約を締結するために交渉してきており、後継条約締結協議を失効後も継続することにしており、その間は現行条約の効力を維持することでオバマ大統領とメドベージェフ大統領が4日に合意したことをギブズ米大統領報道官が明らかにしています。これにより、米ロの核軍縮の流れに大きな空白が生じることは回避された模様です。
obamamed.jpgジョーンズ国家安全保障担当補佐官は4日、記者会見し、オバマ大統領とメドベージェフ大統領が、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が開かれるコペンハーゲンで会談する見通しを明らかにしました。ニューヨーク・タイムズ紙は、首脳会談で、後継条約を巡る合意文書の署名にこぎ着けるとの観測も広がっている旨を報じています。
2、後継条約交渉の推定論点(茂田宏氏のブログ「国際情報センター」より)
(1)弾頭数:7月のオバマ・メドヴェジェフ合意通り、1500~1675(現在は2200)
(2)運搬手段:800以下。(ロシア側はより低い数字を主張していた)
(3)検証:ロシア側がこれまでの条約の検証規定が広範にすぎると主張、米側が適切な検証体制を求め、対立。ただしロシアのミサイル、トーポルMの製造工場への米査察官の常駐は廃止。
(4)新条約は米では上院により承認、またロシアでも議会の承認が必要なため、発効まで時間がかかる。それでつなぎの合意を作る必要があるが、それについては原則合意
(5)懸念事項
●米国では,検証規定が弱くなることに懸念を表明する向きがある
●米は弾道ミサイルに通常兵器を搭載し長距離攻撃力としているが、それも核搭載可能として制限数に組み込まれると米軍事力の劣化になると懸念
●ロシア側の要求を受け入れ過ぎた場合、この条約の上院での審議はそう簡単には行かない可能性
sigeta.jpg(6)茂田氏の所見::ロシア側は経済状況その他より多くの運搬手段や弾頭を保有する余裕がなく、ロシアが保有しうるレベルまで米の核戦力を引き下げることを交渉の目的としてきたとされる。したがってこの条約の失効で核軍拡競争になる危険は当面ない
米空軍の「爆撃機の後継」検討との関係も少し気になります。でも・・米国も核戦力の維持は大変みたいですから、それにそういえばオバマ大統領は「プラハ演説」やってますから・・・。米国で核管理がゆるゆるな状況ですから、ロシアなんか適当ーーになってるんじゃないかと心配です

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