(再録)ゲーツ長官がメンタルヘルスに挑む

5日、テキサス州の陸軍基地で発生した乱射事件(13人が射殺)を受け、米軍を苦しめるメンタルヘルスの問題を取り上げた記事を再録します。合掌。
gatessin.jpg8年以上にわたるイラクとアフガニスタンでの戦いは、独立戦争の記録を更新し、米国が志願兵のみで戦う最長の戦争と成りました(ゲーツ長官談)
古代より戦争に伴う精神的な後遺症は知られており、古代ギリシャでは「恐怖の涙fear shedding」、南北戦争後は「兵士心理soldier’s heart」、ベトナムでは「ベトナム後症候群」と呼ばれており、決して新しいものでは無いが、過去必要十分に注目されてこなかった・・・(ゲーツ長官談)
26日、ゲーツ長官は退役軍人省と国防省が共催するメンタルヘルス・サミットでスピーチし、戦争参加兵士のPTS(post-traumatic stress)、TBI(Traumatic brain injury)や精神障害に関して我々が未知の部分が多くあり、全力を挙げて取り組まなければならないと語りました。
lincost.jpg同長官は「我々は経験のない未知の領域に入っている。兵士やその家族は素晴らしい忍耐力を示しているが、彼らの忍耐の限界と限界を超えた場合の結果について、我々は何も知らない」とゲーツ長官らしく率直に語りました。また「いつ再発するか解らない」としつつも、「回復や進歩は、実験室だけでなくキッチンでも起こり得る」とあらゆる視点からのサポートと取り組みが必要なことを訴えました。
具体的には、治療専門家の増員、家族支援員の増加、手当の増加、ケア施設の増設等々に3300億円を10年度予算に組み込むこと、50億円をかけて5年にわたる大規模な自殺に関する調査分析を行うこと等を実施すると説明しました。
また、治療の専門家を確保するために、米市民権を持たない合法な人の採用や高齢な専門家を採用できるように進めていくと述べました。
スピーチ全体に、病気の症状を示す暗い・陰鬱な形容詞が多く登場し、病が要員となって起こる盗み、けんか、麻薬、悪夢、怒り、うつ・・・等の言葉を遠慮無く使って現実を直視する姿勢を表現しています。
また、懸命の努力にもかかわらず、依然として精神的な「傷」の治療を求めたために保全クリアランスの障害となる事例があることに強い懸念を表し、各級指揮官の適切な対処を求めました。
最後に、最近新兵募集が過去最高成績を上げたことに関しても、「いつまで続くか誰も知らない」と戒めの言葉を発しています。
lincolm.jpg締めはワシントンDCのリンカーン記念堂の壁面に刻まれた言葉、「戦場で傷ついた者を手当てせよ」でした。前線の兵士を見捨てられない・・・それだけがオバマ大統領の続投要請を引き受けた理由だ・・。ゲーツ長官の滅私奉公の日々は続きます

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