1日、英国国際戦略研究所(IISS)ワシントン支部でアフガニスタン駐留米軍司令官兼多国籍軍司令官であるマクリスタル大将が講演を行い、「作戦行動に関し根本的に新たな道」が必要であることを改めて強調しました。
マクリスタル司令官はかねてより、アフガンで展開されているような不正規戦や反政府活動対処には地域住民の支持が欠かせない旨を強調し、先頃ワシントンポスト紙がリークした報告書の中でも、米軍・NATO軍ともに依然敵を撃退することに囚われ過ぎていると警告を発していたところです。http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-24
講演の中で同司令官は・・・
●情勢は厳しく、ある意味で悪化している。暴力活動は増加し、反政府派は増長している。
●単に我々の攻撃を強化しても成功できないだろう。爆弾を多く投下しても、さらなる効果は得られないだろう。
●現地部隊はアフガン国民をあらゆる脅威から守らなければならない。そのため、部隊は外に出て住民と交流しなければならない。タリバンが支配を拡大しているのは、タリバンが好まれているからではなく、タリバンが住民に保護を与え、統治のルールを設定するからだ。住民は、誰が守ってくれ、誰が支援してくれ必要なものを与えてくれるかを目敏く判断しているのだ。
●多国籍部隊が余りにタリバン退治を急ぐあまり、結果として住民の命を奪い財産を破壊することは、部隊の努力を台無しにしている。更に、タリバンが仕掛けた爆弾によって住民に被害が出た場合でも、住民は多国籍軍が存在したために爆弾が仕掛けられた、または多国籍軍が効果的でない、住民のためにならないと考える傾向を強めることになっている。
●我が社会では、目標に向かって地図やグラフ上で線が前進することが好まれるが、人の心の中の変化はそうは単純に確認できない。我々は通常戦とは根本的に異なった考え方で不正規戦に取り組まなければならない。それがいかに居心地の良くない変化であってもだ。
禅の思想を取り入れた改訂版の米陸軍・海兵隊の対反乱行動(Counterinsurgency)の教範の冒頭分に、「あなたが部隊を防護すればするほど、より不安全になる」や「軍事力を使用すればするほど、その効果は低下する」更に「最も有効な武器は、撃たないことである」との記述が加えられました。
その著者が理事長を務めるシンクタンク(CNAS)からこの春、政策担当国防次官ほか大量の研究者が国防省に送り込まれましたhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-05-24。現在の困難な国防省とQDRを引っ張るのはこれらの人々です。
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