最近、アジアの小国ブータンの話をよく聞きます。作家で元日経新聞の水木楊さんや住信基礎研究所の伊藤洋一さんが8月末に訪問され、発信(新Sあらたにす、伊藤洋一のビジネストレンド等)されており、その内容は示唆に富んでいます。
ブータンは、インドと中国に挟まれてネパールの東に位置する小国です。人口70万人、面積は島根県程度、GNPは世界150位台、主要産業は農業、最大の輸出品はヒマラヤの斜面で行う水力発電の電力、世界で唯一チベット仏教を国教といったところです。何よりも、近代化の速度をコントロールしつつ、独自の立場や伝統を守ろうとする政治に世界的な注目が集まっています。
ブータンが初めて日本で話題になったのは、1989年の大喪の礼。他の途上国代表がここぞとばかりに「弔問外交」を通じて日本に経済支援を求めたのに対し、ブータン国王は「日本国天皇への弔意を示しに来たのであって、日本に金を無心しに来たのではありません」と毅然と記者団に答えたことです。
ブータンの特徴をランダムに上げると・・・・
●前国王が提唱したGNH(国民幸福度=Gross National Happiness)で世界1位。現王妃は「GNHの立脚点は、人間は物質的な富だけでは幸福にはなれず、充足感も満足感も得られない。そして経済発展と近代化は人々の生活の質および伝統的価値を犠牲にするものであってはならない」と語っています。例えば国土に占める森林の割合を60%以上に保つという法律まで制定しています。
●文化・自然保護の観点から、団体の観光客以外は原則として入れず、いわゆるバックパッカーは受け入れ不可。ハイクラスの観光客中心の対応
●一方で交流には積極的で、国民は複数言語(中国語、インド語、ネパール語、英語)を話し、英語は7歳から教育して6割が使用可(水木氏確認)
●隣国のインド・中国と異なり、物乞いや小物を売りに来る子供がいない、看板が極端に少ない、トイレがきれい。
●渡り鳥の「鶴」保護のために電線敷設をあきらめ、自家発電による夕方3時間ほどの通電のみで良しとする村が多数存在(つるの里)
●2004年12月から世界初の禁煙国家。たばこの販売禁止。
●2002日韓サッカーワールドカップ決勝当日に、当時世界ランキング再下位だったブータンと下から2番目の島国が最下位決定戦を最下位実施。その関係は不明だが、2008年4月から一年間の契約で日本サッカー協会がブータンへコーチを派遣。
結構奥深いです。
(付録)
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
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