中国経済の見方として、以下のような仮説・見方が一般的であったような気がしていましたが、見方に変化があるようです。
これまでの仮説とは・・・
●中国首脳部は人民の経済格差不満から来る社会の混乱を最も危惧 ↓
●人民の不満を爆発させないため何とか雇用を確保したい ↓
●雇用を確保するため、中国は最低8%程度の経済成長を今後も続けなければならない ↓
●経済成長を続けるには外国との関係を無視できず、中国は対外的に冒険は難しい
しかし最近、この仮説の経済成長と雇用創出の関係に疑問を発する人が増えてきたように感じます。月刊誌フォーサイト9月号の田中直毅氏や富士通経済研究所のカリョウ主席研究員(伊藤洋一のRound Up World Now!8月28日 放送で発言)のお二人等です。
● カリョウ氏は、中国の経済成長が雇用の増加に全くつながっていない状況を、最近の北京在住研究者との意見交換を通じて確認したことを発言し、金余りバブルを警戒すると共に、「出口戦略」のタイミングが極めて難しいことを指摘しています。更に今後の中国経済成長は「Wの字」を描く模様で、まだ山と谷を繰り返すと警告しています。
● 田中氏は、2003年頃に10%の経済成長があった時期でも雇用伸びはわずかで、最近の融資増や補助金による景気刺激策も年間2000万人の労働者増にとても対応していない状況を挙げています。背景には非効率な国有企業淘汰による失業増や大学教育の質の低さを挙げ、「成長率指向による局所バブル誘発でなく、構造改革を」との主張が台頭していると指摘しています。
構造改革を正面に据えれば成長率に束縛されず、米との関係を重視し、政権交代のどさくさに日本を孤立させる政策も可能になるかも・・・・。
構造改革路線でもいずれは統治体制や政治体制に人民の目が向くし、成長志向でもバブルによる社会的格差拡大による混乱の恐れがある事に代わりはありませんが、注意が必要かもしれません。
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