エコカーが人気です。こうしたエコカー普及のカギを握るのが、リチウムイオン電池の安定供給らしいです。しかし、主要素材であるレアメタル(希少金属)のリチウムは、資源が偏在しており、価格高騰懸念が消えません。こうした状況を打開しようと、大手商社が、新たな資源開発に乗りだしました。NIKKEINET 8月18日付の高田哲生氏の記事を中心に、リチウム資源開発について紹介します。
そもそもリチウムの産地は偏在しており、チリやアルゼンチンなど南米中心に産出されます(他に豪、中、露も)。チリ・SQM社や米・ケメタル社など大手3社の世界シェアが約6割に達し、寡占体制が敷かれていますが、南米の多くの国は政情が不安定で、かつ政権が欧米諸国に対し友好的でなく、政権が資源開発企業の国有化を断行する危険があることなどから、開発はあまり進んでいません。
一方、今後のエコカー販売増は確実で、電池の需要増を見込んで、電池の正極材などに使う炭酸リチウムの価格は経済危機後もほとんど下がらず値上げ傾向を強めているようです。
この希少資源確保に名乗りを上げたのが三菱商事と住友商事。6月に南米ボリビアのウユニ塩湖の開発に乗り出すことを表明しました。ウユニ塩湖は世界の半分の地上のリチウム埋蔵量を誇るそうです。ちょっと前にNHKが中山エミリで番組やってましたね・・・ 一方、三井物産は7月、カナダのケベック州の鉱山のリチウム営業権を取得し、リチウム純分換算で2000トンを輸入する計画。2013年から販売を始めるそうです。
しかし、ふたつの開発計画とも、まだまだクリアすべき課題が多いもようです。
ウユニ塩湖のプロジェクトは、今もフランスの企業連合と権益を争っている最中で、また、同塩湖のかん水はマグネシウム分を多く含み、リチウムを抽出する技術がまだ確立していない等不安一杯。またカナダ鉱山の場合、これまで鉱山由来のリチウムは不純物が多いとして、電池用にはほとんど使用されていない。正極材メーカーの多くは「鉱石からのリチウムを使うことは考えていない」としてこちらも未知数・・現実は甘くない。
そんな中、夢のような計画も進行中です。海水中には2300億トンのリチウム(陸上には1300万トン程度)が溶けており、事実上無限の埋蔵量をほこっています。海水リチウムを抽出するプラントが日本を中心に稼動しており、現状よりさらに低コストで採掘できるようになれば、リチウムの資源問題が解決する、との話です。どれぐらいの可能性なのか・・・見通しは明るいのか・・・気になるところです。
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